STEP3 – ストレッチが身体にもたらす効果

ストレッチトレーナーになるためのSTEP7

ストレッチは、私たちの身体に驚くべき変化をもたらします。
筋肉や関節、さらには神経系に至るまで、その効果は非常に幅広く及ぶのです。

STEP3では、その具体的な科学的効果とその背後にあるメカニズムを解説します。

筋肉組織の変化

ストレッチを行うと筋肉が伸び、その結果として筋繊維の構造が変化します。
筋肉は数百万の筋繊維から構成されており、これらが伸びることで“筋肉の柔軟性が向上”するのです。

もちろん一回のストレッチでも一時的に柔軟性は向上しますが、継続しなければ数日で元の柔軟性に戻ってしまいます。

では、どれくらいの期間ストレッチを継続することで柔軟性の定着が成されるのでしょうか?

個人差はありますが、私は「3ヶ月」が柔軟性の底上げがなされる一つの目安として考えています。

細胞組織の新陳代謝の目安は「3ヶ月」ということもありますが、ストレッチを習慣として根付かせるという意味でも「3ヶ月」が一つの区切りになるのです。

これは、”毎日”ストレッチを行うことが重要です。週に2回や3回ではなく、”毎日”です。

もちろん、毎日パートナーストレッチを受けにジムに来ることは難しいと思うので、例えば週に1回パートナーストレッチを受ける場合、それ以外の6日間はご自宅などでセルフストレッチに取り組む形でもOKです。

よって、ストレッチで身体を変えるためには習慣化することが非常に重要なのですね。

柔軟性が向上することで、筋肉の動き、まさに前章で解説した「作用」(“収縮”と”伸長”)がスムーズになり、日常動作はもちろんスポーツ動作など複雑な動きのパフォーマンス向上にも繋がります。

さらに、柔軟性が向上することで血管の圧迫が緩和され、筋肉への血流が増加。各細胞組織への酸素供給が向上し、効率的な筋成長や筋肉の疲労回復も早めてくれるのです。

関節可動域の向上

関節は、私たちの身体を動かすための要です。

関節がなかったらどうなるか?
想像してみてください。

例えば食事の際。
指が曲がらなければ、お箸を持つことができません。
腕が曲がらなければ、口に食べ物を運ぶことができません。
なんとか口に食べ物を運んだとしても、顎が動かなければ噛むことができません。

膝や股関節が曲がらないのでスポーツなんて到底できなければ、歩くことさえ困難です。

関節の動きの範囲、通称ROM(Range Of Motion)は、ストレッチによって確実に向上します。

例えば、ゴルフやテニスのスイング動作は、関節可動域が広い方が有利であることは容易に想像できますよね。

関節可動域が広がることで、各種動作及びスポーツパフォーマンスが向上、怪我のリスクの低減にも繋がるのです。

神経系の機能改善

ストレッチは、筋肉だけでなく神経系にも効果があります。

筋肉は神経と血管を包含しています。つまり、筋肉が硬い、もしくは収縮している状態は”神経と血管を圧迫している”ことと同義と言えるのです。

筋肉を伸ばすことで筋収縮が緩和、神経の緊張や血管の圧迫が和らぎます。

これは自律神経のバランスを整え、特に交感神経の活動を抑え副交感神経を優位にする効果があります。

(※運動前のウォーミングアップで行う「動的ストレッチ」の場合は、逆に交感神経を優位にする目的もありますが、ここでは最も基本的なストレッチである「静的ストレッチ」について言及)

結果として、筋疲労回復はもちろんストレスの軽減や睡眠の質向上など、心身をリカバリーする効果が得られるのです。

姿勢の改善

現代人は座る時間をはじめ、長時間同じ姿勢を維持する機会が多くなっています。

もちろんお仕事の種類やライフスタイルによって例外はあるものの、スマホの普及に伴い、一定時間スマホ画面を見つめている場面はあなたにもあるのではないでしょうか?

これが、姿勢不良としてよく見られる「頭部の前方突出」や「肩の内巻き」の原因の一つとなり得ます。

これらの姿勢不良においては、一部の筋肉が過度に収縮し、一部の筋肉が過度に伸長している、つまり筋肉の本来あるべきポジションとかけ離れている状態と言えるのです。

例えば、長時間のPC作業で前傾姿勢となった場合、首の前面が収縮、後面が伸長、となっているケースが主です。

ストレッチは、これら筋肉の収縮と伸長の”筋緊張”の緩和を実現します。
患部及び関連筋へストレッチをかけることで、筋緊張が緩和しその姿勢の歪みを矯正しやすくなります。

すると、全身のバランスが整い、負担の少ない正しい姿勢へと改善されるのです。

代謝の促進

硬い筋肉は私たちの代謝を低下させます。

体内を循環する血液により各細胞組織に酸素や栄養素が運搬され、筋成長はもちろん疲労回復が成されています。
硬い筋肉により血管が圧迫されることで、血流が悪くなり新陳代謝が非効率化してしまいます。

つまり、ストレッチにより筋収縮を改善することは筋肉や組織の活性化、つまり代謝の促進にも大きく貢献しているのです。

代謝の向上により、体内の老廃物の排出促進やカロリー消費も増加します。
よって、ストレッチは心身の健康増進やダイエット効果にも繋がると言えるのです。

まとめ

現代人は座る時間をはじめ、長時間同じ姿勢を維持する機会が多くなっている

ストレッチは、体感として心地良さや強いリフレッシュ感を得られることはもちろん、科学的に見ても多岐にわたる効果を持っている

これらの効果を安全かつ最大限に引き出すためには、正しい方法でストレッチを行うことが重要

FFPストレッチトレーナー資格は、これらの知識と技術を得ることで、クライアントに最適なストレッチセッションを提供する力を身に付けることができる


——————————————

ここまででストレッチの効果についてご理解いただけたと思います。

いよいよ次章からは、パートナーストレッチの方法、例えばスタティック(静的)ストレッチやダイナミック(動的)ストレッチなど、実際の技術に関する話に進んでいきましょう!