ストレッチトレーナーについて言及する前に、簡単に私の経歴をお話しさせていただきます。
私は大学卒業後、22歳から大手企業に勤めていました。当時の私は、酒・タバコの摂取はもちろんのこと、睡眠についても重要視しておらず、健康とは対局の生活スタイルでした。
ガムシャラに仕事を行い、余暇時間はただ”消費する”コンテンツ、例えばブランド物の購入、クラブで酒を飲む、など一時の快楽に費やす日々。ある程度仕事で出世はするものの、心の底からは満たされない気持ちに苛まれていました。
そんな中、25歳の時に当時の同僚に誘われ、キックボクシングを始めました。目的は、運動不足やストレス解消のためです。
キックボクシング体験の初日、衝撃が走りました。「面白い!」心の底からそう思いました。
体験後、0秒で会員登録しました。
そして、その日を境にタバコを止め、健康についても強く意識するようになりました。仕事後はほぼ毎日キックボクシングジムに向かい、練習に明け暮れる日々。少しずつ(本当に少しずつ)ではありますが、上達してきたことでアマチュアの試合にも出れるようになりました。
その時期、会社の有給を利用して約1週間初めて一人でタイのムエタイジムに勝手に武者修行に行きました。タイ人のムエタイ選手の宿舎に泊めてもらい、朝から晩までタイ人と一緒に練習、同じ釜の飯をいただきました。これまでの自分の平凡な人生を鑑みると、タイのムエタイジムでの毎日が非現実過ぎて、心底楽しかったのです。
そこから脱サラを決意し、プロのキックボクサーになります。28歳でした。
10代の選手もひしめく中で、28歳でのプロデビューは選手としてはかなり遅いです。私のほぼ全ての周りの人が、私の脱サラと格闘家への転身を止めました。
「せっかく今の仕事が安定しているのだから、辞めるのはもったいない」
「キックボクサーなんてお金にならないし、年齢的にも無理だよ」
しかし、私は一切の迷いなく会社を辞め、プロのキックボクサーになる道を選びました。
理由は一つ、ワクワクしたからです。
プロになってからは、紆余曲折を経て28歳から36歳までの約8年間、現役選手を続けることができました。長くなるので、ここでは選手時代の細かいストーリーなどは割愛します。
格闘技なので怪我は付きもの。加えて、30歳を超えると疲労回復も遅れ、階級制競技であるため必須である減量も一筋縄ではいかなくなっていきました。そこで、私を助けてくれたのが「ストレッチ」です。
厳密に言うと、ストレッチ以外にも身体のケアやメンテナンスは様々なものを取り入れましたが、わかりやすくそして一番効果を感じているのがストレッチです。
私はプロキックボクサーとしてデビュー後、選手活動と並行して「ストレッチトレーナー」としても、ストレッチ専門店や鍼灸師の先生の下で働いていました。そこで出会った多くの先生や先輩トレーナーから、数えきれないほど多くの知識や技術を学んだのです。
そして、その際にクライアントに対するサービスはもちろん、自身の身体のケアに関する重要性の認知と習慣的なセルフケアを定着させました。この身体に関する知識とセルフケア特にストレッチがなければ、私は36歳まで格闘家を続けることはできなかったと断言できます。
こうして、選手引退後は人の身体をケアする立場として活動したいと考えるようになったのです。
ストレッチは、自分の中の“殻を破る”力を持っています。言い換えれば、ストレッチは肉体のみならず、精神つまり”心”をも強くしてくれる力を持っているのです。